痔ろう(あな痔)

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早めの治療が必要な「痔ろう」とは?

早めの治療が必要な「痔ろう」とは?

肛門の奥で炎症が起き、それが皮膚の表面とつながってトンネルのような管ができる病気を「痔ろう」と呼びます。
痔ろうができてしまう最初のきっかけは、肛門の内側にある小さなくぼみに細菌が入り込み、膿が溜まって腫れることです。
これを放っておくと、膿が外に出る通り道ができてしまい、それが残って慢性化してしまいます。
痔ろうは、糖尿病の人や疲れがたまっている時に感染が起こりやすくなることがあります。膿は自然に出ることもありますが、切開が必要になる場合もあり、早めの対応が大切です。

痔ろうの症状について

痔ろうは、肛門のまわりが化膿して腫れる「肛門周囲膿瘍」が原因となって起こります。
感染によって炎症が起きると、激しい痛みや高熱(38〜39度)が出ることもあります。
膿が出ることで一時的に症状が落ち着く場合もありますが、膿の通り道が体内に残ると、肛門の外に膿が繰り返し出てくるようになります。
下着が汚れたり、においが気になったりと、日常生活に支障をきたしてしまうでしょう。
さらに、症状を放置していると痔ろうが複雑化し、管が何本も枝分かれしたような状態になるケースもあります。
まれに痔ろうからがんに進行することもあるため、自己判断で放置せず、早めに医療機関での治療を検討しましょう。

痔ろうの進行と各段階の症状

痔ろうの進行度はいくつかの段階に分かれており、それに合わせた治療が必要になります。
自分の症状や診断結果をもとに適切な治療を受けるようにしましょう。

初期段階:肛門周囲膿瘍

細菌が肛門の周辺に入り込むことで炎症が起こり、強い痛みや腫れ、高熱(38〜39度前後)が生じます。
座るのが困難になるほどの激痛を訴える人も少なくありません。
膿が自然に皮膚から排出されたり、医療機関で切開して膿を出すことで、炎症は一旦落ち着きます。

次の段階:痔ろう

膿が抜けたあと、通り道だった瘻管(ろうかん)が体内に残った状態が痔ろうです。
自覚症状が乏しく、膿の排出以外に目立った変化がないことが多いのですが、再び炎症を起こすと肛門周囲膿瘍を繰り返すようになります。
この段階では手術での根本治療が必要となり、投薬や自然治癒では完治しません。

放置した場合:複雑化した痔ろう

適切な治療を受けないまま放置していると、瘻管が枝分かれのように増え、複雑な構造に変わっていきます。
手術が難しくなり、処置に時間がかかるだけでなく、術後の回復にも影響します。
さらに進行すると、まれに痔ろうがんへと移行するケースも報告されています。
痔ろうの早期発見と早期治療が、重症化を防ぐ鍵になります。

痔ろう治療と手術の注意点

痔ろうの治療では、膿の通り道(瘻管)がどこを通っているかの把握が極めて重要です。
特に問題となるのが、排便に必要な肛門括約筋に瘻管がかかっているケースで、この筋肉を傷つけてしまうと、排便機能に支障が出る恐れがあります。
そのため、痔ろうの手術には、患部の状態を正確に見極める力と、細やかな技術が必要とされます。

瘻管開放術

瘻管の上を切開し、そのまま開いた状態で自然治癒を待つシンプルな術式です。
肛門の後方にできた痔ろうに適しており、括約筋を傷つけずに治療できることから、便のコントロールに影響しにくいとされています。
浅い痔ろうに対して特に効果的で、完治も十分に期待できます。
再発率は非常に低く、1〜2%ほどです。

括約筋温存術

括約筋をできるだけ切らずに治療する方法で、瘻管そのものを周囲の組織ごと摘出します。痔ろうの位置や深さに応じて、くりぬく方向や範囲を調整するため機能を損なわずに痔ろうを取り除ける点が特徴です。

シートン法

特殊な医療用ゴム紐を瘻管に通し、少しずつ締めていくことで瘻管と括約筋を段階的に切開していく治療法です。
括約筋が一気に切断されないようにすることで、排便機能を保ちやすくします。
1~2週間ごとにゴムの締め直しが必要となり、その際には多少の痛みや違和感を伴うことがあります。
数か月にわたる治療期間が必要ですが、括約筋の変形を抑えることができるというメリットがあります。

瘻管切開開放術+くりぬき法

括約筋をまたいで複雑に伸びた瘻管に対しては、瘻管開放術と括約筋温存術を組み合わせた手術が行われます。
内部の瘻管は開放し、外側にのびた部分はくりぬきによって処理されます。術後は切開された括約筋を縫合し、排便機能の回復と瘻管の除去を同時に目指します。

痔ろうとそれ以外の痔の違い

痔ろうとそれ以外の痔の違い

「痔」という言葉は広く使われていますが、実はその中にいくつかの種類があり、特に痔ろうは他の痔、例えば「いぼ痔」や「切れ痔」とは大きく異なります。
それぞれの特徴と違いを見ていきましょう。

原因が違う

いぼ痔や切れ痔は主に生活習慣や体調による影響を受けやすいです。
たとえば、便秘や長時間座っていること、無理な力みなどが原因で、血流が悪くなることがきっかけで発症します。
これに対して痔ろうは、細菌感染が原因で起こります。
肛門周囲の腺が細菌に感染して膿がたまり、それが膿瘍となります。
膿瘍が破れて膿が外に排出された際に膿の通り道として瘻管ができてしまう状態が痔ろうです。

治療法と治癒過程が大きく異なる

いぼ痔や切れ痔は、薬を使ったり、生活改善を行tたりすると改善する場合があります。
例えば、便秘を解消することで症状が緩和されることがありますし、切れ痔であれば軟膏や薬で傷が治ることもあります。
しかし痔ろうは、自然には治癒しません。
膿が排出されたり症状が落ち着いても、膿が通るトンネルである瘻管はそのまま残ります。

慢性化の進行具合が違う

いぼ痔や切れ痔は、慢性化することで症状が長期化し、痛みや不快感が続くことがあります。
特に切れ痔の場合、傷が深くなると排便時に激しい痛みを感じることがあります。
一方で痔ろうは、膿が通るトンネルができてしまっても、しばらくはほとんど症状がなく、膿の排出が続く限り痛みも少ないことが特徴です。

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